人生100年時代と言われています。2018年の日本人の平均寿命は、男性で81歳を超え、女性は87歳を超え、過去最高となりました。
今後の老後は2,000万円が必要との試算もありますが、「自分のライフプランは大丈夫か」心配になりますよね。そして、いざ退職する際、老後の資金が足りないという状況では、今後の生活が破綻し、困ってしまいます。そのためには、早いうちから会社の退職金の額を確認しておきましょう。
本記事では、40歳からのライフプランを作成する方法をご紹介します。
本記事の構成は以下の通りです。
Contents
職場の【就業規則】【給与規程】【退職金規程】から、60歳の定年退職金額を計算する
現在お勤めの会社には就業規則や給与規程があるはずです。もし、退職金があれば、それらに記載されているはずですし、別途、退職金規程もあるはずです。
まずはそれを入手して、定年退職の年齢と退職金の金額を把握し、老後の資金計画を考えていく必要があります。
退職金の計算基準は、会社で若干違いがあると思いますが、基本的には「基本給」や「勤続年数」によって計算されるの方法が一般的ではないでしょうか。
総務省データによると、退職金の平均相場は1,941万円とのデータもあるとのことです。これに退職金所得控除額を計算し、実際の手取り額を計算し、割り出します。具体的に計算してみましょう。
平均相場(1,941万円)が支給されると仮定して、手取り額を計算します。
まずは、課税対象となる退職金の額を計算します。
(1)課税対象となる退職金額の計算
(収入金額-退職所得控除額※1)×1/2
※1退職所得控除額の計算式
勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
勤続年数20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
25歳から60歳まで35年間勤めて定年を迎え、退職金が1,941万円の人の場合は、
1,941万円-{800万円+70万円×(35年-20年)}×1/2=45.5万円
となります。
課税対象となる退職金が45.5万円となることがわかりました。
次に、以下の計算式で、所得税を計算します。
(2)所得税の計算
課税対象となる退職金額(A) | 所得税(B) | 控除額(C) | 税額=(A×B-C)×102.1% |
195万円以下 | 5% | 0円 | (A×5%-0円)×102.1% |
195万円超 330万円以下 |
10% | 97,500円 | (A×10%-97,500円)×102.1% |
330万円超 695万円以下 |
20% | 427,500円 | (A×20%-427,500円)×102.1% |
695万円超 900万円以下 |
23% | 636,000円 | (A×23%-636,000円)×102.1% |
900万円超 1,800万円以下 |
33% | 1,536,000円 | (A×33%-1,536,000円)×102.1% |
1,800万円超 4,000万円以下 |
40% | 2,796,000円 | (A×40%-2,796,000円)×102.1% |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 | (A×45%-4,796,000円)×102.1% |
(45.5万円×5%-0円)×102.1%=23,227円が所得税となることがわかりました。よって手取りは、1,941万円-2万円で1,939万円となることになります。
【iDeCo】を併用している場合は退職金額にiDeCo受け取り額を合算する
iDeCoを退職一時金でもらう場合は、上記退職金と合算して控除額を計算し、所得税を導き出すことになります。
仮にiDeCoを40歳から20年間、毎月23,000円で積み上げて場合、552万円積みあがり、運用益がなかった場合は、約2,500万円の退職金として計算します。
(2)退職金とiDeCoを合算した所得税の計算
2,500万円-{800万円+70万円×(35年-20年)}×1/2=325万円
(325万円×10%-97,500円)×102.1%=23万円
上記の通り、所得税は23万円となることがわかりました。
ここで、所得税を計算したのは、退職金やiDeCoがせっかく支給されるのに、税金でもっていかれて手取りが大幅に減ることになった場合、今後のライフプランに影響があると考えられるため、大まかにでも税金を計算しておく必要があるのです。
今回、iDeCoと退職金を合わせて2,500万円(1,941万円+552万円)が支給されると仮定すれば23万円の所得税となりました。
これであれば、税金で手取りが大幅に減ることはないので、このまま2,500万円が支給されると思って、ライフプランを作成して問題ないと考えられます。
【定年退職者再雇用規程】から、61~65歳までの再雇用給与を計算する
これも会社の就業規則に則り定められている再雇用規再雇用者の規程があると思いますので、そこから再雇用者の給与を計算します。
正社員だった時に比べ、70~80%程度の給与になるのが一般的ではないでしょうか。
40万円もらっていた方なら、40万円×70%=28万円/月に減らした額でざっと計算します。
66~70歳は【パートタイム】で働くとして給与を計算する
時給1,000円ほどとして、パートで働くという想定で計算します。
1,000円×8時間×週5日×4週=16万円/月となりました。
70歳から【年金】の【繰り下げ受給】を計算する
夫が会社員で妻がパートで生計を立ててきたご夫婦での年金額は、総務省のデータでは厚生年金の男性の平均額は16万円、国民年金の女性の平均額は7万円という数値があります。
合計で23万円ほどとなりますがが、これは65歳から受給した場合です。
これを70歳から受給にすると、42%増額して受け取れることに、夫婦合わせて32万円受給できる計算になります。
社会保険料や税金支払いを考慮し、マイナス5万円ほど引いた手取りで27万円/月ほど、毎月の年金が支給されると計算しておきます。
【ライフプラン】に落としこみ、イメージをつかむ|
これで、ようやく40歳以降のライフプランをイメージすることができます。
夫が80歳で他界し、妻が100歳まで生きたとの想定で、以下の通り、「給与・年金収入」「退職金(収入取崩し)」「iDeCo収入(取崩し)」「つみたてNISA収入(取崩し)」の合計を収入として、生活費に回せる額を計算しました。
イベント | 年齢 | 給与・年金収入 | 退職金収入 | iDeCo収入 | つみたてNISA収入 | 合計収入 |
勤労中 | 40歳 | 33万円 | 積立中 | 積立開始 | 積立開始 | 33万円 |
定年退職 | 60歳 | 42万円 | 1,941万円(つかわない) | 552万円(つかわない) | 800万円(つかわない) | 42万円 |
再雇用 | 61歳 | 28万円 | – | – | – | 28万円 |
パート勤務 | 65歳 | 16万円 | 月5万×5年間=300万円取崩し | – | – | 21万円 |
年金受給開始 | 70歳 | 27万円 | – | – | – | 27万円 |
夫死亡で妻のみ年金受給 | 80歳 | 7万円 | 月6.8万×20年間=1,632万円取崩し | 月2.1万×20年間=480万円取崩し | 月3.3万×20年間=792万円取崩し | 19.2万円 |
妻死亡 | 100歳 |
住宅ローン等が60歳で完済していれば、老後の資金計画はなんとかなるイメージがつかめるかと思います。
特に、70歳までフルタイムで働く体力があればよいのですが、そうならないことも往々にして想定されます。
その際のことも考えて、現金等で貯蓄が1,000万円ほどあると安心できるレベルになるかとは思いますし、再雇用で働いている時に月額28万円、年金受給が開始されて、月額27万円の収入があるときには、まだある程度の貯蓄ができると思いますので、なるべく長く働き、貯蓄していく意識が大切です。
また、子どもの教育資金などは別途用意が必要ですし、急な出費もあると思いますので、あくまでイメージとしてとらえることが必要です。
iDeCoやつみたてNISAで老後資金を確保するのは、今後のライフプランを作成する上で有用な手段となります。
iDeCoやつみたてNISAは、別記事でご案内しておりますので、ご参考にしてください。
iDeCoは、こちらの記事<個人型確定拠出年金【iDeCo】とは(やるべきこと)|節税効果とメリット>をご参照ください。
つみたてNISAは、こちらの記事<【NISA】と【つみたてNISA】の違い(やるべきこと)|サラリーマンにオススメは【つみたてNISA】>をご参照ください。